kamihira_log

Private::blog IN Senshu-University

« リゲイン | メイン | サーバー停止のお知らせ »

août 07, 2007

ペーパープロトタイプ

IMG_6349.jpg
今年関わっている共同研究の一つ、「サッカー分析者のためのツール開発」。そのインターフェイス設計を紙に書いて検討しているところ。体育の飯田先生、4年のM君らが進めている研究で、去年、前段階の学会発表のポスターの図解を指導した縁で、今年もお手伝いしている。

プロフェッショナルとしてのサッカー分析者の仕事は、最近確立し始めたばかりらしく、それはよく知られているバレー等のデータ分析とは結構違っていて、実際の試合映像を元に監督の戦術イメージを伝えるような翻訳業務が主なのだそうだ。膨大な試合の映像を編集したり蓄積したり検索したりを繰り返すわけだが、現状、とにかくそれらが効率的ではないという話。なので情報化へのニーズがあるようで、今年はその目的に特化した映像閲覧ツールのプロトタイプを開発しているところ。成果は、12月の日本フットボール学会で発表予定。

M君らは、調査としてJリーグで活躍するプロの分析者を取材したりしているのだが、その仕事内容を聞いていると、自分の全く知らない世界なせいか、とても興味深い。例えば、サッカーのスタッフやクレバーな選手は、試合が終わった後にでも頭の中で完全に再生できるのだとか。つまり、ひとつひとつのプレーをフォーメーションの流れや選手の位置関係のなかで理解しているわけで、将棋の棋士が試合の譜面を再生できるという話に近いように思う。

こういう話は「ほほー」と人ごとのように聞いているわけにはいかず、ユーザ中心設計を考える上では非常に重要な問題だったりする。例えば、監督に指示されて「ある試合の/あの選手の/あの時間帯の/あのプレー」の映像を見つけるときの頭の中での関連記憶の連鎖は、素人のそれとは違うことになり、つまりは画面での対話手順も違ってくることになる。使う人の頭の使い方をちゃんと理解することは欠かせない。

また、偶然にも飯田先生はサッカーの専門家にして、質的研究の専門家でもあり、その周辺のメソッドにも非常に詳しい。いろいろ関連文献を教えてもらえるという特典もあった(「語り”と出会う」という本は面白かった)

そんなわけで人から見たらまったく畑違いの研究に首を突っ込んでいるようにしか見えなくても、自分の中ではちゃんとデザインと繋がっていて、いろいろ勉強になっている。


ところで、このM君、デザインを修行しているわけじゃないのになぜか有名デザイナー達のコミュニティへの人脈があったりと、謎の生態をしている学生なのだが、このプロトタイプのチェック受けるために、うちのゼミ生よりもちょくちょく研究室に来て、その場でテキパキと仕事を進めて帰る。参考文献を指示したら、すぐ自分で買って読み込み、作っているものにちゃんと活かしてくる。見てると(失礼ながら)適当っぽかった2年生の頃の姿と今との変わりように驚いてならない。そこで人生観変わったきっかけが何かあったのか、彼に聞いてみた。

答えは、やっぱり教養科目のゼミナールでの日々と、その成果を発表した去年の冬(3年生の時)の学会での経験だそう。つまりは飯田先生の元で学問の面白さに気付いたことで彼の生き方は大きく変わったわけで、自分もそういう機会に日々接しているのかもしれないと考えれば、なんだか気が引き締まる。

投稿者 kamihira : août 7, 2007 08:36 PM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://epi.fm.senshu-u.ac.jp/~kamihira/mt/mt-tb.cgi/275

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)