mars 13, 2007
絶版書リターンズ

英語の勉強も兼ねて「Experiences in Visual Thinking 」(Robert H.Mckim ,1972)を読む。
題名の通り、視覚的思考法についてまとめられた古典的名著。今から30年以上前に著者が提唱し、スタンフォード大学工学部において体系化されていったワークショップの記録である。see(見る),imaging(想像する).draw(描く)の各行為を評価と共に統合しながら、サイクリックに深化していくというもの。ちなみに、あまり知られてないが、Gillian Crampton Smith によるRCAの教育と同じように、かのIDEOのデザインメソッドに影響を与えたと言われている。
#「30circle」というワークショップのルーツもこれだったことを本読んで知った。
表現と思考を繋げた理論として、デザイン教育では重要な本なのだけど、なぜか検索しても日本での事例はほとんど出てこない。唯一きちんと言及している例を発見したら、なんと櫛先生(京都工繊大)のところ。世間は狭い・・・。講義の資料見ると、櫛先生はおそらくStanford時代にこのVisual Thinkingの授業受けられた経験があるのかもしれませんね。いいなぁ。
先日紹介したハーバード大の片山利弘の本など、世界をみれば、いわゆる美大じゃないところで創造性を効果的に開発した教育の例は結構ある。我々も頑張ろう。

ついでに、同じく絶版だけど重要な本を紹介。
リチャード・ソール・ワーマンの「東京アクセス」と「情報選択の時代」。
東京アクセスは、1984年の東京ガイド本なので、内容としては今やほとんど役に立たないが、それでもこのガイドで試みられた情報設計の斬新さは、今でも色褪せていない。
このガイドでは、実際の町並みと同じ順番で全ページが構成されており、同じページにレストランや美術館が混在している。つまりユーザーが実際に街を歩くのにそって情報を得ていくという、コンテクスト(文脈)指向の情報設計の先駆けだ。また、街の紹介でありながら、なんと写真が一枚もなく、全部簡潔な図解で表されている。多分、「ページ開いたその場で本物の風景を見よ、写真は不要」って考え方なんだろう。混在する情報を整理するために細かく色でラベル分けしたり、本のページの角が丸まっていたりと、ページの隅々まで工夫してあるという芸の細かさに脱帽する。
まあ、和英併記でしかもやたらと字がぎっしり詰まっているので、めちゃくちゃ読みにくいのだが・・・。今じゃ実際こんなでかい本もって街を歩こうとは思わないよなぁ。

「情報選択の時代」(1990)は、現在、情報デザインを語る際必ずといっていいほど引き合いに出される、「それは『情報』ではない」とほぼ同様のことを言っているが、こっちの方が面白いかも。(参考記事。ついでに思い出話)
投稿者 kamihira : mars 13, 2007 08:01 PM
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