octobre 03, 2006
後期演習

しばらくここを放置していたが、久しぶりに書いてみる。
大学はいつのまにか後期が始まって2週間経った。少しづつ朝夕の混雑の雰囲気も変わっている。教員も学生も忙しいのは大変だけど、休み中よりは日常にハリがでてくるように思う。
さて、後期には僕は2年生向けの「CD総合演習」という大規模な演習の企画と進行を担当している。この演習、課題の自由度を上げれば苦情が出るし、下げれば主体性が失われるしで、実に運営が大変な演習なのであるが、コースとしては3年生のプロジェクトに自信持って送り出す必要があるわけで、短い期間でなんとかトレーニング積んで鍛える他はない。他の先生達と相談しつつ、今後のコースの内容を見極めながら検討を重ねている日々で、現在は、昨年度の「情報の積み木」の改良バージョンを進行中である。
そんなわけで、演習2週目の昨日は、日本科学未来館の展示計画室で御活躍されている潮田さんと小川さんをお招きし、特別講演を企画した。
講演では、愛知万博の例を引きながら、展示を構成する要素とプランニングのプロセス、自分たちで手がけられた展示物のポイントなどを丁寧に解説してくださり、密度の高いお話を聞かせて頂いた。
特に興味深かったのは、装置と戯れているだけの段階から専門知識の間違いをつっこむ段階まで、ありとあらゆる鑑賞者の知的レベルや年齢層の幅がある中で、それぞれが心に残る経験を持ち帰れるようにするため、かかわり方の度合いに応じた階層をつくる「情報のレイヤー化」の話。これは学校(という巨大な装置)にもかなり通じるところがあるんだよな・・・。
そして講演後には、未来館とCDコースで共同企画のワークショップを試してみる。
「二人一組になってクジを引く。クジに書いてある問題に対する答えとなる仕組みを、予備知識の無い人に理解できるような実世界の形で表現してみよう。素材は準備されたもののみ」(制作時間60分)
■問題1「星座はどうやって形作る?」未来館小川さん出題。
例えばオリオン座は、全く別の場所にある星からそれぞれの時間(何百年もまえ)に出発してある瞬間に到着した光が、地上のある地点からある人が見て像を結ぶわけだけど、それを表すことに挑戦する。(実際に企画展で小川さんはこの展示をつくられたそうです)写真は、あるコンビが光が出発した時間を日本史の人物と重ねているところ。

■問題2「DNSサーバーってどんな仕事している?」
前期のインターネット情報システムという授業で仕組みを理解している(はず)なので出題した。(松永先生が僕に憑依した)表現に糸をうまく使って、IPとドメインのやりとりする仕組みを考えたところもあった。写真は上位階層のサーバーに問い合わせる仕組みに着目して挑戦した例。はやくも崩れた。

■問題3「電子レンジはどうして温まる?」
一見わかっているようで、説明しろと言われると以外と難しい。この問題は、用意した素材のダンボールがちょうどレンジの大きさぐらいだったせいもあって、各作品とも結構表現が似てしまってたけど、すこし着眼点をずらしたコンビもあった。写真はビー玉を電磁波に見立て、物体に衝突し震動させ熱を起こす仕組みを表した例。

■問題4「近視の人はなぜ眼鏡をかけるとよくみえる?」
これも常識のようで、いざ表すとなると結構難しい。
ふたつのピントの違いを並列する表現が多い中、写真は除き穴から実際に体験する装置を作ったコンビ。ユニークな仕掛けに票があつまり、全体で2位を獲得。

■問題5「『せんい』に関する展覧会の空間デザイン」
他の問題が全部単体の展示物なので、それらをまとめる空間という表現要素に気付かせたい・・・とのことで、未来館潮田さん出題。
100分の1スケールという条件もついて、相当に難易度高い。この問題に当たった学生は最初みんな頭を抱えていた。写真は、想像力を活かし快調に飛ばしていたコンビ。短い時間ながら展示物の配置まで作られている。見事に1位を獲得。

合計で40チーム以上が入り乱れ、いつになく混沌とした教室のなかで、普段よりはみんな生き生きと問題に取り組んでいたように思う。一体どうなることやらと思ったけど、たったの1時間でゼロからここまでできるパワーに、未来館のお二人も僕らも驚いた。
ワークショップの素材は僕が日曜に100円ショップや文具屋で唸りながら選んだのだけど、結構いろんな使われ方をしたみたいで、一安心。表現を狭めず多様性がありかつ安い素材を選ぶのは結構大変だった・・。
もっとも、今回はまだ素材の特性を活かした仕掛け(例えばなにかする力をつかって同時になにかを起こすとか)に加工(例えば四角を切って丸をつくったりとか)についてはまだまだ瞬間的な発想に至ることは少なかったようで、もうちょっとゆっくりと工夫したり検討したりする機会が欲しいところ。単純に立体のもので置き換えただけになってしまうのは、たぶん素材や時間が足りないせいじゃない。
まあ大事なのは「何やるか」の問題をつくることで、そしてそれに対して演習ではこれから色んなメディアを使いながら計画していくわけだけれど、まずはこういうところから。こういう経験をうまく生かせれば、冬には面白い作品がたくさんうまれそうな予感がする。
投稿者 kamihira : octobre 3, 2006 03:18 PM
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